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冬の不慣れな選挙の準備が始まる

スウェーデンの国政選挙はいつも9月の3つ目の日曜日に実施されます。キャンペーンは夏の後半から忙しくなります。3月22日の今回の特別選挙は違います。どんな天気なるのでしょうか。かなり寒い季節なので冬の選挙になるでしょう。暖かい服装、そして選挙小屋も断熱材を追加する必要が出てきました。 8種類の選挙小屋をすでに販売しはじめている会社にとっては、突然の新選挙は大歓迎でしょう。断熱材だけではなく、上に雪が積もっても大丈夫な小屋にする必要があります。この理由で今回の小屋は高めになるそうです。夏だと1小屋が1万ー2万クローネ(16万円ー32万円)位するのに対して冬用の断熱材付きの小屋は、組み立て込みだと3万クローネ(48万円)ほどします。 今年9月の選挙に使われた小屋をまだもっているところはラッキーですが、選挙が終わると政党は多くの小屋を中古品として売ります。庭に設置するのに建設許可が必要ないので、いろいろに使える便利な小屋です。とても人気があります。個人は別荘の庭に置いてお客さんが泊まれる部屋に使ったり、物置に使ったり、幼稚園はおもちゃの家にしたりできます。 日本は選挙小屋を見たことがないですが例えば渋谷のハチ公広場にあれば面白いと思いませんか。

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2015年3月22日、スウェーデンはまた選挙!

先月の日本滞在中に突然、衆議院解散、総選挙が決まり、驚きました。昨日は、スウェーデンも予定外の選挙が決まりもっとびっくりしました。日本では頻繁に解散とそれに伴う総選挙が不定期に行われますが、スウェーデンは1958年以来のことですから皆がびっくりしているところです。 昨日、12月3日、スウェーデンの国会は内閣の予算案ではなく、野党案を採択してしまいました。その背景は前の記事で説明しました。 その後、ステーファン・ロヴェーン首相は二つのオプションしかの残っていませんでした。一つは内閣総辞職です。その場合、国会の議長を中心に新しい組閣プロセスが始まります。もう一つは、選挙をやり直すことです。首相は選挙という道を選び、来年3月22日という日程も決めました。 スウェーデン語ではEXTRA選挙と言います。日本語の表現は何がよいでしょうか。特別選挙?再選挙?新選挙?追加選挙?とにかく、今年9月の選挙の結果では安定した政権が成り立たなかったということで一度やり直すことになりました。私は「やり直し選挙」だと感じています。 特別選挙を行うのは56年ぶりです。どんな選挙でしょうか。憲法のルールでは、決定をするのは政府です。しかし総選挙の後に国会が初めて招集された日から3ヶ月たってから初めて決定できます。それは今回、9月29日でしたので、政府が正式に選挙の実施を決定できるのは今年の終わりのころです。そして選挙を決めた時点から3ヶ月以内に実施しなければなりません。 選挙は正式には決まっていませんが、各政党のキャンペーンはすでに始まろうとしています。 日本と違って、スウェーデンの政党は4年に1回の定期的な選挙以外に突然キャンペーンをすることに慣れていないので準備はたいへんでしょう。 国の選挙管理機関はいつでも特別選挙ができるよう、つねにその準備をしておかないといけません。各国にあるスウェーデン大使館にも必要なものを送ってあるそうです。 今年9月の選挙と違う点の一つは、今回は国政選挙だけです。9月は国政に加えてすべての自治体、県議会の選挙も平行して同じ投票日でした。 新しい選挙までは、今の内閣は残り、野党の予算をもってスウェーデンを運営することになります。政策的に目立ったことができなく、新しい選挙結果が出るまでに、内閣の基本業務をやっていくだけです。政治家にとっては全然面白くないことでしょう。 このブログのタイトルも2015年の選挙を含むようなタイトルにする必要が出て来ました。特別選挙に合わせて、もう一度「選挙スタディツアー」を企画する予想外の可能性も見えて来ました。興味があれば是非ご一報ください。

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スウェーデンの国会が麻痺状態中

2ヶ月前の10月3日にできた新政権はいつまでもつのでしょうか。本来は4年間の任期ですが、今は危機的な状況になっています。 内閣は国会に提出する予算案を採択してもらうことで国を運営します。しかし今日行われている予算審議の後の投票では、政府案が通らない見とうしになってしまいました。スウェーデンでは異例のことです。 スウェーデンの国会は左ブロック、右ブロックの対立がある中でブロックが交代して与党と野党に入れ替わったりするのが普通です。 左ブロック:社民党・環境党(現内閣)+左党(政策協力で予算案を支持) 右ブロック:穏健党・自由党・中央党・クリスト民主党(現野党、前連立政権) 参考に:政党リストと国政選挙の結果 2006年の選挙は左ブロックが負け、右ブロックの政権に代わりました。今年9月の選挙では、左ブロックが政権に復帰しました。 今回違うのは、13%程の支持を得ながら、どちらのブロックにも所属しないスウェーデン民主党の存在です。移民の受け入れを減らすべきだとい政策を柱にしている政党です。移民政策の点では、国会のすべてのほかの政党と対立しています。そのため、スウェーデン民主党がほかの政党に対して「協力しましょう」と言っても、どの政党も相手にしません。 今回、三つの予算案が提出されます。内閣案、野党右ブロック案、スウェーデン民主党案。スウェーデン民主党案が通る可能性はゼロなのでスウェーデン民主党は次に内閣案あるいは野党案を支持することを選択できます。そこで、スウェーデン民主党は、野党案を支持すると発表しました。野党の予算案が通る見とうしになり、国会は大混乱に陥りました。 ロヴェーン首相は他党の予算でスウェーデンを運営するつもりはないという当然の方針を決めています。 今日は、国会での予算案審議がテレビで生中継されていますが、各政党の党首は見当たりません。どこかで頭を抱えて考えたり、他党と交渉したりしているでしょう。国会の議論で時間を稼いでいるように見えます。 スウェーデン民主党は自分たちの移民政策を実現させるために、国会で獲得した立場を最大限に活用していると言えます。他政党に強いプレッシャーを与えています。 実は移民政策については左・右ブロックの違いはあまりないそうです。スウェーデン民主党は右ブロックの予算案をその点で評価して支持しているわけではありません。これからは、キャスティングボートを握っているという立場を使って、自分たちの移民政策の方針に沿わないどの予算案についても、国会での採択を妨害するつもりだと言っています。これは他党から見れば国会運営をつねに荒らすことになるから非常に深刻な問題です。 ロヴェーン首相はこの状況のなかで何とか予算を通すために右ブロック4党に呼びかけ、ブロック間の協力を提案していますがまったく相手にされないままです。 この次は何が起こるのでしょうか。首相は辞職するのでしょうか?今の国会の中から新しい政権が生まれる可能性があるのでしょうか?あるいは春に異例の再選挙になるのでしょうか? 選挙の結果を受けて安定した政権をどうやって作れるか、それは今の国会の最大課題です。どのような解決方法が見つかるのでしょうか。日本と違って、定期的な選挙以外の選挙は非常に珍しいです。一度選ばれた議員達の仕事は、互いに交渉して解決先を見つけることでしょう。私はそう思います。

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新しい国会が新しい表現も

今日は、日本の国会の招集とほぼ平行してスウェーデンの国会も総選挙の後に初めて招集されました。国王も参加する開会式はあしたで、今日は議長や副議長3人を選ぶというわりとシンプルな初仕事でした。 Photo: Riksdag Administration 皆、ハッピーそうですが、実は左の男性が国会議員が普通ではない行動をおこす原因となりました。議長と副議長は、議長は最大党から、そして副議長は政党のサイズの順番に選ぶという習慣があります。非民主的だと見られたりしていて、ほかの政党から嫌われているスウェーデン民主党(SD)が今回13%で第3党になったために、第2の副議長のポストに入るという見とうしとなりました。 このありさまを支持しないことを表すために、スウェーデン民主党以外の議員は、国会の習慣を維持しながら一つの工夫を考えました。 議長と副議長は普通なら、国会議員が皆で声を出して賛成するかたちで決まるのですが、スウェーデン民主党の議員が副議長になることを妨げようとする左党は例外的に非公開の投票を求めました。その投票はとても時間がかかりましたがスウェーデン民主党以外のほとんどの議員は白票を入れました。スウェーデン民主党の候補者を支持しないことを表すことができました。 しかしスウェーデン民主党以外の候補がいなかったために結局は国会の伝統通りに第2の副議長はスウェーデン民主党の候補者に決まりました。

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