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核廃棄物最終処分場、市議会が受け入れを前向きに決定

エストハンマー(Östhammar)という約22000人の小さな自治体に何回も日本からの視察客を連れて行っています。ストックホルムから少し北、バルト海の海岸に位置しているこの自治体はスウェーデンの原発のすべての使用済燃料の最終処分場をつくる予定地になっています。スウェーデンの原発から出る使用済燃料を管理しているSKB社は1970年代から最終処分場の最適な場所を探し、調査してきました。SKB社はようやくエストハンマー市を選ぶことになり、エストハンマー市は25前からその受け入れを検討してきました。そして、エストハンマー市議会は2020年10月13日、38人賛成、7人反対、3人棄権、1人留守で最終処分場を受け入れることを正式に決定しました。 これは歴史的で世界的にも珍しい決定でしたが、コロナ禍の中だったからか、国際的にあまり注目されなかったようです。コロナ対策のため、一部の議員は自宅からオンラインで参加していました。会議が全部ネットで放送され公開だったので私も自宅でその様子を見ることできました。13日の市議会は最終処分場の1議題のみのために特別に開催されたが、多くの議員の発言や案件についての修正案、説明や採決で3時間ほどかかりました。見ていると市議会のごく普通の会議に見えてあまり特別な感じではなかったです。 最終処分場の立地は複雑なプロセスですが、スウェーデンがずっと主張してきたことのひとつは、住民の意見を尊重し、民主主義のプロセスを重視して進めることです。法律上、政府は地元の反対を押し切ってでも立地を無理矢理に進めることは可能ですが、スウェーデンはオーペンなプロセスで疑問ひとつひとつ解決して信頼関係をよく築いた上で前向きに受け入れてもらう道をずっと選んできました。そのため立地を決めるプロセスに受け入れの自治体が「NO」と言える拒否権(veto)があります(環境法典)。今回の決定はその拒否権を最終的に放棄するというものです。 最終処分場建設は土地環境裁判所とスウェーデン放射線安全機関(SSM)、2つの専門機関の許可が必要です。その上に政府の許可も必要です。そして政府は立地自治体の同意なしには許可しないことになっています。しかし自治体の決定、政府の決定、その順番ははっきりしないようです。自治体は政府が「受け入れますか」と正式に聞いて来るのを待っていればよいと主張する議員がいました。しかし、受け入れ推進の議員は、自治体は25年間もこの問題を検討していて、経験や智識が十分にあり、多くの疑問が解け、十分に納得しているから自信をもってこの時点で決定できると主張しました。最後の納得のひとつは、最終処分場を作るSKB社の仕事が完全に終わった時、会社として存在しなくなった時、処分場に関する責任がスウェーデン政府に移行するということが2020年6月に明確に決まったことだそうです。少なくとも70年先のことです。 エストハンマーは、受け入れに対して国からもっとたくさんのお金などをもらうべきで、政府と交渉すべきだと主張する議員もいましたが、受け入れ推進派の議員はきっぱりと「買われたかたちで受け入れたことにしたくない」と反論しました。 実はエストハンマー市議会がこの決定をする前に住民投票を行う予定もありました。日程も2018年3月4日に仮に決まっていました。その時点で土地環境裁判所もスウェーデン放射線安全機関(SSM)も許可を出しているはずでした。しかし環境裁判所は申請内容にまだ不十分な部分があると判断してまだ許可していませんでした。そのため、まだ住民投票ができるような状態ではないということで中止になりました。スウェーデンの住民投票は法的拘束力がなく、顧問的なものですが、市議会が住民投票の結果に従うことが常識になっています。そして2020年6月9日、市議会は、住民投票は不要だと判断して実施しないことを決めました。 この後、政府による決定が注目されます。

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